詐欺注意!スイッチングハブのライフタイム保証

誰も得をしないスイッチのライフタイム保証

海外メーカーのスイッチにはライフタイム保証をうたっているものが存在しています。今回はこのライフタイム保証が良い面と悪い面を解説していきます。

ライフタイム保証の発端は HPのスイッチングハブ戦略

ライフタイム保証はだれが始めたのでしょうか。 いろいろ調べると、HPが最初に始めたとの記載がありましたので、たぶんそうなのでしょう。
HPはパソコンでは有名ですが、スイッチを作っていたなんて初耳の人も多いかもしれませんが、業務向けスイッチとしてはそれなりに老舗の地位にいました。

ただ、日本以上にアメリカのスイッチ市場は厳しく、 上にはCiSCO 下にはNETGEARと競合が確固たる地位を気付いていました。 HPはこれらに対抗するために、ライフタイム保証としたわけです。

PC関連でライフタイム保証を古くから実施していたのは DRAMでした。
DRAMがライフタイム保証を歌えたのは、PCの入れ替えライフサイクルで
DRAMの規格が変わるため、ライフタイムといっても、PCが壊れた際に
同じ規格のメモリは使えないという裏事情がありました。
(コンデンサなんかついていないし、壊れにくいというのもありますが)

おそらくHPも ライフサイクルがすぐに切り替わるものだと考えていたかもしれません。しかし、20年以上前に規格されたGigabitが今でも主流です。

さらに、HPと同様に各社ライフタイム保証をうたってしまったため、
優位性はなくなってしまいました。

海外のスイッチングハブ市場は泥沼

日本のスイッチ事情は比較的穏やかな状態にあります。
これは、日本のビジネスモデルにおける特異性があり、海外メーカーの参入障壁
になっているのです。(この特異性に関しては今度にします。)

海外のスイッチ事情を見ると、アメリカのNETGEAR 台湾のD-Link
中国のTP-LINKの3社が低価格なアンマネージスイッチ当たり泥沼の戦いをしています。とくにTP-Linkは完全にNETGEARのマネ戦略を行っており、
大差がありません。ともにライフタイム保証をうたっていますし、
違いといえば、TP-Linkは自社生産・NETGEARはファブレス
ぐらいでしょうか。。。数の暴力戦争になった場合には自社工場で同じものを
大量生産して、中間マージンを減らすことが勝ちパターンですので、
TP-Linkに押され気味のNETGEARといったところでしょうか。
(ただ、TP-Linkは中国自社生産のため、米国においては、
今後の貿易戦争によってはNETGEARのほうが優位に働くかもしれません。)

ライフタイム保証製品の思惑

海外でし烈な争いをしているスイッチですが日本に各社参入し
広げようとしています。武器は、グローバル調達の安価さと世界的にやっている
ライフタイム保証の2点です。 ライフタイム保証をうたっている2社の
戦略を見てみましょう。

NETGEAR:欧米でTP-Linkに押され気味。
      まだTP-Linkの入り込めていない日本市場である程度台数を稼ぎたい

TP-Link:工場が中国にあるため、米中貿易摩擦の影響をもろに受けている。
     自社生産の為、生産数を減らす事が難しく、今まで売っていなかった
     日本市場に進出していきたい。

共にいえることは、日本をグローバル戦略のバランサー位にしか考えていない事
特にTP-Linkにおいては、米中関係が改善したら、日本市場なんてうま味が無いと
思っているでしょう。

ライフタイム保証の罠

ライフタイム保証は聞こえがよく、飛びついてしまいそうになりますが、
スイッチングハブ特有の罠が潜んでします。そちらを紹介します。

・スイッチングハブのACアダプターはライフタイム保証対象外

スイッチングハブのシステム自体はすでに1チップ化されており、
ほぼ故障がありません。
壊れるのは、ACアダプターの1次側の電解コンデンサが寿命を迎える事です。
ライフタイム保証といえども、ACアダプターは対象外。 修理対応です。

・修理にかかる時間が不明確

仮に故障をしてもライフタイム保証なので、交換機が勝手に送られてくると
思っていませんか?ライフタイム保証は先出のセンドバックではありません。
いわゆる修理対応です。海外メーカーの修理対応はずさんで、部品が無いと
本国取り寄せになります。(船便で何週間もかかります)
また、修理にかかる時間も明確でありません、すぐに帰ってくることもあれば
数カ月待つこともあります。 スイッチングハブはネットワークの根幹部分です。
数カ月も無くて待つことができますか?

結局ACアダプターが壊れたら、買い替えになります。
また、仮に他の部分が壊れても、修理に時間がかかりますので、
買い替えればいいか。。。という形になります。

はい。メーカーの思う壺です。